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Vol.16 No.2

機能部品の特集に寄せて ~エンジンは部品の進化に支えられている~
吉冨 和宣
Kazunori YOSHITOMI
日野自動車株式会社/本誌編集委員
Hino Motors, Ltd. / JSAE ER Editorial Committee

本特集号の背景

 カーボンニュートラルに向け、自動車の動力源として電動化が有力視されている。電動車は、乗用の分野で実用化されているものの、物流などのインフラを担うトラック・バスを含めたすべての乗り物を電動車とするには、技術的課題の克服に時間を要する。そのため、2050年のカーボンニュートラルに向けては、電動化と並行して、エンジンの効率改善やカーボンニュートラル燃料の使用などを組み合わせた「マルチパスウェイ」によるシナリオで、官民を挙げて取り組んでいくことが望ましい。
 そのため、エンジンの性能向上を継続すべきである。エンジンは1万点以上の部品から構成されており、部品の技術がエンジンの性能向上を支えていると言っても過言ではない。それらの部品は、時代の要求(長距離化、高速化、低燃費化など)に応じて、根本的な構造や形状変更だけでなく、素材や加工方法に至る改善により進化し続けてきた。今回の企画では、エンジンの基本的な機能や性能を成り立たせる機能部品に注目し、最終的にエンジンとして成立する際の必要条件などについて、読者が知見を得る一助となることを目指した。

エンジンとそれを支える部品の進化の歴史

 ディーゼルエンジンを例に、日本の時代背景に対するエンジンや部品を簡単に紹介する(図1)。1897年にルドルフ・ディーゼルにより発明されて以来、120年以上の歳月が経過している。古くは軍事用、戦後は民生用にて、人や物の輸送の原動力として活躍してきた。1965年の日本初である名神高速道路の全線開通を皮切りに、長時間の高速走行による大量輸送が求められるようになった。エンジンには、高出力化や省燃費、耐久性向上が一層求められ、これらは燃料噴射系の高圧化やインタークーラ付きターボチャージャの登場、潤滑・冷却系の進化に支えられてきた。この後、1970年代の高度経済成長期の産業発達に伴い大気汚染が社会問題化し、その発生源の一つとして自動車が挙げられた。ディーゼル車に対する規制は、1974年のNOxから始まり、1994年の短期規制からPM(粒子状物質)も規制対象となり、コモンレール噴射系やDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)、これらを統括する制御システムが登場し、現在のエンジンシステムとなっている。

自動車技術会 日本の自動車技術330選(1)からみる技術革新

 また、自動車技術会の「日本の自動車技術330選」を見てみると、1972年のホンダ「シビック」に搭載されたCVCCは、制御や後処理無しのエンジン単体技術でマスキー法をクリアしている。その後、燃料噴射系を見ても、ガソリンエンジンではキャブレータ、EFI(電子制御噴射)、ポート噴射、直噴と進化した。ディーゼルエンジンではジャーク式からコモンレールへと進化し、高精度な燃料噴射制御が実現された。その他、過給装置やフリクション低減技術、EGRや排気後処理装置も発明や改良が重ねられ、センサを活用した電子制御との組合せによりエンジン性能の向上に寄与している。
 このような高度な部品の技術が融合したことによるエンジン性能のブレークスルーを以下に挙げる。例えばトヨタ「カリーナ4AELU」のリーミクスチャセンサや高性能なプラグ・イグナイタによる希薄燃焼、三菱「ギャラン4G93」の高圧噴射ポンプや高圧スワールインジェクタによるGDI、日産「セドリックL20ET」への日本初ターボチャージャ装着、マツダ「ユーノス800」のリショルムコンプレッサーの採用によるミラーサイクル、いすゞ「117クーペ」の電子燃料噴射装置L-ジェトロ、大型商用車のコモンレール+EGR+インタークーラ付きターボ+DPF+SCRといった、高度な部品の技術が融合したことによるエンジン性能のブレークスルーは枚挙にいとまがない。自動車技術会 日本の自動車技術330選も一読されることをお勧めする。

まとめ

 世界のトップレベルの地位を確固たるものとしている日本の自動車の性能や品質は、たくさんの部品の最新技術に支えられていると言える。どの部品にも、時代の要求に応じながら進化し、時には技術者の想いが込められていることを感じながら、特集記事を読んでいただけると幸いである。

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